少し前にサルトリイバラ科(またはユリ科)のサルトリイバラ(猿捕茨)を取り上げたが、今度はジャケツイバラ(蛇結茨)を取り上げる。香港の花はBauhniea で科名の Caesalpiniaceae にはなじみがあったが、これが日本語の科名ではジャケツイバラ科というのはこれまで知らなかった。Caesalpiniaceae(科名)のなじみは Caesar (シーザー)に似ているからだが、これはまちがい。Caesalpiniaceae(科名)はイタリアの植物学者 Andrea Cesalpino の名前からきているということだ。ジャケツイバラ科とCaesalpiniaceae とでは海と山ほどの違いがある。
Wikiでは
”
ジャケツイバラ科 (Caesalpiniaceae) はマメ科に近縁な科。クロンキスト体系では独立の科とするが、新エングラー体系ではマメ科に入れてジャケツイバラ亜科 (Caesalpinioideae) とする。APG植物分類体系ではマメ科の一部で、ジャケツイバラ亜科 (Caesalpinioideae) は認めているがハカマカズラ属などを含まない。
特徴
果実はマメ科と同様の豆果。 花は左右相称で、5枚の花びらが大きく開いて目立つものが多いが、一部(ハナズオウなど)はあまり開かず不完全な蝶形花になる。葉は単葉または羽状複葉。多くは木本で、つる性のものも多い。150属2200種ほどからなり、熱帯・亜熱帯に多く分布する。日本にはジャケツイバラ、サイカチ、カワラケツメイ、ハカマカズラなど数種が自生する。
”
とあり、 <150属2200種ほどからなり、熱帯・亜熱帯に多く分布する>、<日本にはジャケツイバラ、サイカチ、カワラケツメイ、ハカマカズラなど数種が自生する>で2200種のうち数種しかないのでなじみは薄い。またその数種の中のジャケツイバラが2200種もある科の科名(亜属名)に使われているのだ。名前からジャケツイバラもバラまたはイバラを連想させる。漢字名は<蛇結茨>で、蛇結は蛇(ジャ、へび)がトグロを巻いている様子、イバラは<トゲ>がある(目立つ)ことによる。衣服のジャケツ(もう古語だ)は関係ない。<蛇結>は聞いてもピンとこないが蛇の目、蛇口(じゃぐち)、蛇腹(じゃばら)は耳できいてわかる。<蛇結茨>は和製漢語+和語(いばら)の名で、中国では<雲實>という。雲實は亜科名、属名にもなっているので、中国では代表種なのだろう。ややこしくなるが(特に理解したり、覚えたりする必要はない)
ジャケツイバラ(種) = 雲實 (種)
一方ジャケツイバラ科 (Caesalpiniaceae)の中国名は、独立の科とした場合は蘇木科となる。ところが蘇木と言う種があり、
Wiki
”
蘇木(学名:Biancaea sappan)為豆科雲實屬的植物。又名蘇方、蘇方木、蘇枋木、蘇枋、紅紫、赤木。多分布在東南亞和中國南部一帶。
スオウ(蘇芳、蘇方、蘇枋)は、マメ科ジャケツイバラ亜科の小高木。インド、マレー諸島原産。
”
中国名の蘇方はsappan の音訳ということだ。蘇方(スホウ)が<スオウ>になったということか。<スオウ>というには聞いたことがある。蘇芳色。小学生のときのクラスに<すおう>という姓の生徒がいたような記憶があるが漢字は覚えていない。
つまりは独立の科とした場合は
Caesalpiniaceae -ジャケツイバラ科 - 蘇木科
マメ科の亜科とした場合は
Caesalpinioideae -ジャケツイバラ亜科 - 蘇木亜科または雲實亜科
種のジャケツイバラは
Biancaea decapetala (or Caesalpinia decapetala)- ジャケツイバラ - 雲實
となる。
ジャケツイバラ科 (Caesalpiniaceae) あるいはジャケツイバラ亜科 (Caesalpinioideae) の主な分類群
Wiki
”
Caesalpinieae ジャケツイバラ連
- Caesalpinia ジャケツイバラ属
- C. decapetala var. japonica ジャケツイバラ
- C. echinata ブラジルボク
- C. pulcherrima オウコチョウ
- C. sappan スオウ ((or Caesalpinia sappan)
- Gleditsia サイカチ属
- G. japonica サイカチ
Cassieae カワラケツメイ連
- Cassia ナンバンサイカチ属
- Chamaecrista カワラケツメイ属
- C. nomame カワラケツメイ
- Ceratonia イナゴマメ属
- Delonix ホウオウボク属
- D. regia ホウオウボク
- Senna センナ属
Cercideae ハナズオウ連
”
日本ではなじみがないのが多いが亜熱帯の香港ではいろいろな<5枚の花びらが大きく開いて目立つものが>が見られる。
代表は香港の花 Bauhinia だ。
上記のリストでは
- B(auhinia) blakeana バウヒニア
- B. japonica ハカマカズラ
の二つだけ紹介されているが、いろいろな Bauhinia が見られる。B(auhinia) blakeana はハイブリッドの園芸品種で実(さやつきのマメ)がならない。B. japonica ハマカズラというのは見たことがない。だが蔓(かずら)性の似たようなのものはある。
Wiki中国語版では
本属中有3个种的中文名经常被混淆导致混乱,以下為它們在兩岸三地較常用的中文俗名:
| 学名 | 中国大陆 | 香港 | 台湾 |
|---|---|---|---|
| Bauhinia purpurea | 羊蹄甲 | 红花羊蹄甲 | 洋紫荆 |
| Bauhinia variegata | 洋紫荆 | 宫粉羊蹄甲 | 羊蹄甲 |
| Bauhinia × blakeana | 红花羊蹄甲[8] | 洋紫荆 | 艳紫荆 |
香港での名前を使うと
1) Bauhinia blakeana - 洋紫荆
2) Bauhinia purpurea - 红花羊蹄甲
学名のpurpurea からすると紫(purple)で実際紫っぽい色の花だ。<羊蹄甲>は羊(ひつじ)の蹄(ひづめ)の甲(手指或腳趾上的角質硬殼でツメのことだ)。蹄甲で<ヒヅメ>となるか?これは独特な葉の形が羊(ひつじ)の蹄(ひづめ)に似ているからだ。香港人の友人によると<読書葉>という俗称がある。これは本を開いた状態の形。
3) Bauhinia variegata - 宫粉羊蹄甲
<宮粉>はピンクだと思うが実際はうす赤紫か。
4) Yellow Bauhinia
花はなぜか少なくしかも小さい。
5) White Bauhinia
この写真、拡大しておしべの根元をよく見ると<オシベが花びらに変型していった>ことが想像できる。これは教科書(図鑑)に書かれているが八重咲きのハイビスカスではもっとよくわかる。
6) 蔓性のBauhinia corymbosa
Caesalpinia pulcherrima オウコチョウ(黄胡蝶)
オウコチョウがすぐには<黄胡蝶>にむすびつかない。モンシロチョウならはじめて聞いても推測がつく。花は蝶に似ているが、花(びら)の色は<each flower with five yellow, orange, or red petals.>で黄色とは限らない。中国名は紅蝴蝶。
Common English names for this species include poinciana, peacock flower, red bird of paradise,etc. (Wiki)
少しうきよ離れした花の恰好ではある。
pulcherrima は pulcherrimus (superlative of pulcher = beautiful) で pulcherの最上級女性単数形形容詞。
ナンバンサイカチ(南蛮皀莢、学名:Cassia fistula、英:Golden shower)は、インド、スリランカ、ミャンマーが原産のマメ科の落葉樹で、黄色い5弁の花を付ける。満開の時期には、まるで黄色いシャワーを浴びているようなところから、ゴールデン・シャワーまたはゴールデンシャワー・ツリーの別名を持つ。
皀莢をサイカチと読めるひとはまずいないだろう。
Cassia fistula、英:Golden shower
中国名はいろいろある。
阿勒勃(學名:Cassia fistula;梵語:आरग्वध,āragvadha;《本草拾遗》),讹作阿勃勒(《本草纲目》;台湾通称),又称波斯皂莢(《酉阳杂俎》)、婆羅門皂莢(《本草拾遗》)、腊肠树(《中国植物志》;大陆通称)、豬腸豆(香港通称)、南蛮皂荚(日本通称)、長果子樹、牛角树等,或据英语golden shower译作黃金雨、金急雨,是一種豆科蘇木亞科的植物。
別のポストでスケッチをたくさん載せている。一時感動してたくさんスケッチした。
Cassia fistula, known as also the golden shower tree and 腊肠树 (sausage tree) in Chinese
https://www.blogger.com/blog/post/edit/3230820526016150653/196752801430620682
さて皀莢はなじみがないが上のリストにあるが独立して
というのがある。
Wiki
"
サイカチ(皀莢、皁莢、学名:Gleditsia japonica)はマメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属の落葉高木。別名、カワラフジノキ。漢字では皁莢、梍と表記するが、本来「皁莢」はシナサイカチを指す。幹に特徴的な棘がある。
(中略)
和名サイカチは、生薬のひとつである皀角子(さいかくし)に由来し、「皀」は黒、「角」は莢を表わしている。中国名は、山皂莢である。
"
山皂莢の<皂>に注意。
<「皀」は黒>であれば莢(さや)が黒くなるので(実際見たことがある)いい。だが「角」は<トゲ>だろう。また<「皀」は黒>もクエスチョンマークだ。
一方中国語版Wikiは
"
中国語版Wikiでは
”
皂荚(学名:Gleditsia sinensis),(英文名稱:American
Honeylocust、Bigspine Honeylocust,、Common Honeylocust、Chinese Honey
Locust、China Honeylocust、Chinese Locust、 Chinese Soap-pod Locust、Sweet
Locust) ,別稱 皂角(中国高等植物图鉴)、etc.
"
で<幹に特徴的な棘がある>で印象的。これも(トゲ)見たことがある。日本語版の<皀>と中国語版の<皂>は字が違い発音も違う。石鹸(せっけん)は中国語で<肥皂(feizao)>という。皂荚(学名:Gleditsia sinensis)はムクロジとおなじでサポニンがあり石鹸代わりになる。
<皀>の字を中国版ネットで調べてみると
皀 jí
◎ 稻穀的香氣
其它字義
皀 bī
◎ 粒;一粒。
一方<皁>の字は
-
黑色。如:「皁白」。《玉篇·白部》:「皁,色黑也。」
とある。
zao が<サイ>の変わった可能性はある。
一方<生薬のひとつである皀角子(さいかくし)に由来し>をチェックしてみると<角子>は音読みでは<カクシ>だが<カクチ>と聞こえるは言葉で輸入されたのではないか?かくして<サイカクチ>が<サイカチ>になった。
という説はどうか?
もう一つ
Cassieae カワラケツメイ連
これもややこしい。なぜなら
Cassieae がカワラケツメイ連は
Cassia ナンバンサイカチ属
と
Chamaecrista カワラケツメイ属 そしてその下に種の Chamaecrista nomame カワラケツメイ
がある。
種のカワラケツメイは
Wiki
カワラケツメイ(河原決明、学名:Chamaecrista nomame)はマメ科ジャケツイバラ亜科、カワラケツメイ属の一年草。まれに多年草となることがある。別名ネムチャ、ノマメ、マメチャなどとよばれる。黄色い5弁花を咲かせる河原などに生える植物で、果実を含む全草が漢方として用いられ、葉や果実は健康茶として利用される。
<河原(カワラ)>はやまとことば(かわはら)+中国語<決明(けつめい)の組み合わせ。したがってChamaecrista =決明となりそうだが
中国の決明は種-決明(学名:Senna obtusifolia)でもあるが属名でもある。したがってSenna=決明となる。
Chamaecrista は中国では(Wiki)
"
山扁豆屬(學名:Chamaecrista)又名假含羞草屬,是豆目豆科的一屬。
分類本屬屬於蘇木亞科、決明族、决明亚族。過去,本屬與決明屬(Senna)均被歸類於阿勒勃屬(Cassia),中文名為“決明屬”,但現已知本屬是決明屬的旁系群,而阿勒勃屬是决明亚族的基群。
"
で主流ではない。主流は決明で Senna またはCassia なのだ。
決明屬(学名:Senna)又名黃槐屬,是豆科決明族的一屬植物。
多分 Senna alata 翼柄决明
D. regia ホウオウボク(鳳凰木)
ホウオウボク(鳳凰木、Delonix regia)は、<ホウオウ>と耳で聞いただけだはわからないが、漢字名が示唆するように(大きな鳥か)目立つ大きな木で、濃いオレンジ色の大きな花、大きく硬い鞘(さや)の実(マメ)をつける。中国の鳳凰(phoenix)はオレンジ色のようだ。高いところに目立つ大きな花をつける大木ということでは<ノウゼンカズラ>のポストで紹介した<火焔木>に匹敵する。ビクトリア公園にはいずれも名札付きで大きなのがある。

黄槐决明(学名:Senna surattensis),又称为黄槐
Senna surattensis
この花は花期が長く、また<絵になる>のでスケッチは多い。
sptt















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