Friday, November 29, 2019

マメ


前回のポスト<タデ>のタデ科はけっこう複雑だが、これは分類法の変更によって生じている。マメ科も、同じように分類法の変更によって、複雑になっている。豆(マメ)というと草を思いうかべるが、西洋の童話に<ジャックと豆の木>というのがある。豆の木がどんどん上に伸びていき、男の子のジャックがこの豆の木を登っていく、という話だが、内容を忘れてしまったし、どんな<豆の木>なのかを知りたくて調べて見た。内容の方は知っている人も多いと思うので、ここでは省略。Wikiの解説によると


ジャックと豆の木』(: Jack and the Beanstalk)は、イギリス童話


で正確には<豆の木>ではなく<豆の茎(くき)、幹(みき)>だ。 Wikiにはイラストがあるが、木というよりはツル性の草木(ここでは<草のようでもあり木のようでもある>という意味)の茎(くき)、幹(みき)で、どうも木ではないようだ。つる性のマメ科の草木は少なくない。そしておおむねツル性の草木は一般的に成長が早い。普通の樹木は幾年もかけてゆっくり上に伸びていくので、この童話にはあまりふさわしくない。

マメ科とは言うが<マメ>という特定種はなく、<マメ>は総称で、しかも<マメ>は普通は食べ物の<マメ>だ。いんげん豆 、うぐいす豆、枝(えだ)豆、えんどう豆、そら豆 、あずき(小豆)、だいず(大豆)。

Wikiの解説



マメ科(Fabaceae syn. Leguminosae)は、被子植物に含まれる分類群の1つで、いわゆるマメの仲間を含む。
マメ科・ネムノキ科ジャケツイバラ科に3分する説もあったが、ジャケツイバラ科が他の2科を内包する側系統であり、系統的には否定された。

特徴
マメ科の植物は、羽状複葉になるものが多い。(中略)
蔓性のものも多く、茎が巻き付くものと巻きひげを発達させるものがある。草本も木本もあり、また立派な樹木になるものも含まれる。花は左右対称になる傾向がある。マメ亜科は独特の形を持っており、蝶形花という。

下位分類
ジャケツイバラ亜科 Caesalpinioideae
花は左右相称であるがマメ亜科のように特殊化していない。サイカチセンナジャケツイバラなど。ハナズオウハカマカズラなどは系統的には含まれない。
ネムノキ亜科 Mimosoideae
花は放射相称、花弁は小さく(雄しべが目立つ)、多数の花からなる花序を作る。ネムノキオジギソウアカシア(ミモザ)など。
マメ亜科Faboideae または 代替名 Papilionoideae)
マメ亜科(マメあか)またはソラマメ亜科(学名Faboideae代替名Papilionoideae)はマメ科を構成する3つの亜科のうち最大のものである。南極を除く全ての大陸に分布し、およそ47613860を擁する。



以上はマメ科関連の解説から抜き出したもの。マメ亜科は超大家族だ。上に思いつくまま並べたマメたちはマメ亜科に入る。香港ではマメ科の大中小の木がかなりあり、花が目だつ<立派な樹木になるもの>が少なくない。<ジャケツイバラ>というのは聞いたことも見たこともない人が多いだろう。私もそのひとり。だがWikiの<ジャケツイバラ科>の解説では


ジャケツイバラ科 (Caesalpiniaceae) はマメ科に近縁な科。クロンキスト体系では独立の科とするが、新エングラー体系ではマメ科に入れてジャケツイバラ亜科 (Caesalpinioideae) とする。APG植物分類体系ではマメ科の一部で、ジャケツイバラ亜科 (Caesalpinioideae) は認めているがハカマカズラ属などを含まない。  (中略)
日本にはジャケツイバラサイカチカワラケツメイハカマカズラなど数種が自生する。



とある。なぜジャケツイバラにこだわるかというと、香港の花(Bauhinia)はこのジャケツイバラ科 (Caesalpiniaceae)で、名札ではこのCaesalpiniaceae と中国名の蘇木科をよく目にする。蘇木はジャケイツイバラではない。<ジャケツ>がわからないのでジャケツイバラを調べてみたが、Wikiの解説では

ジャケツイバラ(蛇結茨、学名Caesalpinia decapetala var. japonica

で日本の漢字では<蛇結>と書く。この<蛇結>もわからないので調べてみたが、話がどんどんそれていくのでここでは書かない。さて Bauhinia はいく種かあるが、硬貨、紙幣などに描かれていろのは野生ではなく人工ハイブリッド種(しゅ)(タネのマメができない)の 

Bauhinia × blakeana 中国名洋紫荊

でこれが<香港の花>と言っていい。普通は<紫荊花>と呼んでいる。私のこの花のスケッチは100枚以上ある。(末尾)

ホウオウボク(鳳凰木、Delonix regia)は、<ホウオウ>と耳で聞いただけだはわからないが、漢字名が示唆するように(大きな鳥か)目立つ大きな木、大きな花、大きく硬い鞘(さや)の実(マメ)をつける。目立つ大きな花をつける大木ということでは<ノウゼンカズラ>のポストで紹介した<火焔木>に匹敵する。ビクトリア公園にはいずれも名札付きで大きなのがある。



































Delonix regia 鳳凰木

もう一つは

Cassia fistula, commonly known as golden shower,[2] purging cassia,[3] or Indian laburnum,[4] is a flowering plant in the subfamily, Caesalpiniaceae of the legume family, Fabaceae. 中国名:豬腸豆(香港通称)

これは英語名のとおり花が盛りのときはgolden shower、そして大きく豬腸(ソーセージ)のような鞘(さや)の実(マメ)がなる。九龍公園(Kowloon Park)に古くて大きく立派な木があり、花が盛りはまさに golden shower。ビクトリア公園にもいくつかあるがいずれもやや小ぶり。Golden shower に感激して一時ずいぶんスケッチした。初めてお目にかかったのは台湾で,新しい公園に新しく並べて植えたものだったがこの時も感激した


























Cassia fistula, 中国名:豬腸豆


さらにもういくつか。

 Senna surattensis 中国名:黄槐决明あるいは簡単に黄槐の名札もある。

これは大体どこでも見られ鮮やかな少しオレンジがかった黄色の花が目を引く。小中型の木なので、場所によっては花が近くでよく見える。


 
 

 Senna surattensis  中国名:黄槐决明黄槐)


 
学名で Senna、 中国名で<决明>がつくのに 
 
Senna alata (別名:Cassia alata) 中国名:翼柄决明(別名:有翅决明) 
 
というのがある。下のスケッチで花の下に飛行機のつばさのような鞘(さや)の中にタネが入っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Senna alata (別名:Cassia alata)
 
 
ネムノキ亜科 Mimosoideae、含羞草亞科 (あるいは香港では普通は含羞草科(ネムノキ科、(Mimosaceae)。含羞草は草で<オジギソウ>のことだ。含羞草科(Mimosaceae)には小型、中型の木もある。これがネムノキ(合歓の木)。小型は花が赤い。中型の木の大葉合歓の花は白緑でいい匂いがする
 
 
 
 
 





























小葉ネムノキ(albizia julibrissn


































大葉ネムノキ(Albizia lebbeck

Blue Butterfly Pea (Clitoria ternatea).中国名:蝶豆, 又叫做藍豆.

学名 Clitoria ternatea Clitoria はClitoris と同源。想像を働かさなくてそう見える。この青(藍)は感動的な色だ。

 





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Blue Butterfly Pea (Clitoria ternatea


フジ属(フジぞく、学名: Wisteria)は、マメ科の一つ。フジ(藤)と総称するが

 香港の藤 (フジ) は小ぶり。名札は<紫藤、Wisteria>となっている。花は、よく見ればマメ科の花だ。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 藤、Wisteria

 

 

(末尾)

 香港の花-Bauhinia



























2009






















2010
























2011























 2013






















2018


















2019
これは野生の方でタネができる。Bauhinia variegata (宮粉羊蹄甲)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024

師は友人が書いたもの。 



追記

最近<ジャケツイバラ科 (Caesalpiniaceae)>のポスト独立させて書いている(2021-02-27)。


sptt


Wednesday, November 27, 2019

タデ



このブログの兄貴分<sptt やまとことばじてん>の方で<蓼(たで)食う虫も好き好き>というのを
書いたことがある。よくわからない<好き好き>の意味を考えて見た。

<蓼(たで)>という漢字は書けても都会育ちのひとでは何が蓼かを知っているひとはそう多くはないだろう。<タデ>の語源は単純に<田出>で<田で出る>草、<田に出てくる>草だろう。タデはタデ科の植物だがタデ科はけっこう複雑。

<タデ>のWikiの解説


タデ(蓼)は、タデ科イヌタデ属学名: Persicaria)の一部[2]、より具体的にはサナエタデ節 (ペルシカリア節、sect. Persicaria) の総称である[3][4]。かつてイヌタデ属などはタデ属 (Polygonum s.l.) にまとめられていたが、Hedberg (1946) や続く研究者により、現在ではそれらは約8に分割される[5][6][1]。全て草本で、陸地生のものは一年草だが、水生のものには地下茎を引く多年草もある[4]
また、タデ科の一年草の中で穂状花序のものと定義することもある[7]。ただしタデ科内では、イヌタデ属サナエタデ節の他に、同属ミズヒキ節 sect. Tovaraイブキトラノオ属 Bistorta も花序は穂状である[8]
狭義にはサナエタデ節のヤナギタデ(柳蓼、Persicaria hydropiper (L.) Delarbre[9])を意味する[4][2]。本来の「タデ」はこので、「蓼食う虫」の蓼もこの種である。標準和名「ヤナギタデ」は、ヤナギに似ていることから。


つまりは「蓼食う虫」の<蓼(タデ)>の正式名は狭義には<ヤナギタデ>ということらしい。だが、<タデ科の一年草の中で穂状花序のものと定義することもある。>とすると、<ヤナギタデ>1種とは限らなくなる。

一方タデ科の方は、これまたWikiの解説からの引用になるが


タデ科Polygonaceae)は双子葉植物の科の1つである。50–60属[4]、約1100種[4]
種数の多い属としては、約250種のエリオゴヌム属 Eriogonum 、約200種のギシギシ属 Rumex 、約130種のハマベブドウ属 Coccoloba 、約100種のイヌタデ属 Persicaria がある[2]。かつては300種を有すタデ属 Polygonum s.l. があったが、約8属に分割された[4][5]
日本には3-12属約70種が自生または帰化する。



学名はPolygonaceae だが、かつてはタデ属 Polygonum があり、この中にヤナギタデPolygonum hydropiperがあった。 今は Persicaria hydropiper となっているので<タデ科-タデ属-タデ>がくずれてしまっているが、昔はタデ科を代表するのが<タデ>、絞り込めば<ヤナギタデ>ということになっていたわけだ。

ところでヤナギタデ(柳蓼、Persicaria hydropiper)だが<柳蓼>は葉がヤナギの葉に似ているからだが、学名 Persicaria hydropiper の<hydropiper>の<hydro>は<水>の意だ。Hydrogen 水素
Hydro generation 水力発電。

英語版Wikiの<Persicaria hydropiper>の解説 

 "
Persicaria hydropiper (syn. Polygonum hydropiper), also known as water-pepper, water pepper or marshpepper knotweed, is a plant of the family Polygonaceae. It grows in damp places and shallow water.

"
日本語版Wikiの<ヤナギタデ>解説 


ヤナギタデ(柳蓼、学名: Persicaria hydropiper)は、タデ科イヌタデ属[4]一年草[5]水辺などに生える雑草和名は、ヤナギに似ていることから[5]マタデホンタデともいう[5]

辛味がある(よく似たボントクタデの葉には辛味がない)。

は、わずかに紅色を帯びた白色[5]

"

で明らかに<水>と関連があるのだ。もとにもどって

<タデ>の語源は単純に<田出>で<田で(出る>草、<田に出てくる>草だろう。

で<田んぼ>には大体<水>がある。<水>がある頃の<田んぼ>に花が咲いて目だつのか?

ヤナギタデ(柳蓼、Persicaria hydropiper)は実際まだ見たことがない(または見たがまったく気がついていなかった)が、香港には丸い、あるいは四角い葉のタデ科の草がある。

Persicaria chinensis (Polygonum chinense)



 









































中国名は火炭母

中国語
台湾版Wikiの解説は


"
火炭母(學名Polygonum chinense L.英文名稱:China Knotweed、Chinese Knotweed、Southern smartweed[3][4]日文名稱:ツルソバ [4]別稱火炭梅、火炭藤、火炭星、火炭蓼、火炭只藥、旱辣蓼、橘麥草、五毒草、 賊骨草、野辣子草、野辣蓼、蕎花連、蕎殼蓮、蕎麥當歸、野蕎、天蕎麥、山蕎蓮、金蕎麥、金不換、暈藥、小暈藥、大紅袍、紅花蓼、紅山七、紅骨清飯藤、黃澤蘭、黃鱔藤、白飯草、白飯藤、蝴蝶藤、灰炭藤、雞屎蔓、信飯藤、冷飯藤、清飯藤、秤飯藤、烏飯藤、烏飯菜、烏灰子、飯藤、斑鳩飯、鳩飯草、枯錐飯、米點紅、土川七 、川七、雞骨七、溜子七、蕎子七、九斤錘、九牛造、水黃連、水拖沙、沙壩子、酸廣台、酸桶筍、酸筒桿、碎骨丹、接骨草、接骨丹、接骨筍、老蛇筋、老鼠蔗、拔毒散、赤地利、貫頭尖、莫杷及震天雷等[2][5],為蓼科蓼屬植物[3]




とやたら別名がある(等も入れると70以上)。ということはどこにでもある(たいていは漢方薬として)なじみのある草なのだろう。火炭母の火炭は多分火(すみび)の意で、上のヤナギタデの解説にあるようにこの火炭母も花は、わずかに紅色を帯びた白色>。さらに葉も紅色を帯びており、見方によっては<火(すみび)>に見える。上のスケッチの赤っぽいところは手元に絵の具と筆がなかったので赤ワインを使ったワインレッド。私が見た限りでは<つる>で這いのぼるというよりは<地を這う>ようだが、直立もする。少し赤っぽいクリーム色の花と、これまた少し赤っぽい緑(濃いのと薄いのがある)は見ていてなかなか味がある。

台湾版のためか日本語<ツルソバ>も紹介されているが、ツルソバ>は私は聞いたことがない。中国別名には<蕎花連、蕎殼蓮、蕎麥當歸、野蕎、天蕎麥、山蕎蓮、金蕎麥>と蕎()(そば)の字が出てくる(タネがそばのタネににている、ということらしい)。<ツル>は<藤>、<>が該当するが<蕎(麥藤(>というなはない。花の形と花の塊(かたまり)から<>の字がつくのも多い。花がもっと赤いのが<あかまんま>で、赤い花のタデはいくつかあるようなので<あかまんま>を特定種に限ることはないだろう。また<薬><><>と漢方薬のような名前もある。中薬(漢方薬)図鑑にはたいてい載っている。本家の本草綱目(口語版)を調べて見たところ、タデ科の草がいくつか載っているが、火炭母はなかった。水蓼というのが載っていたので調べて見た。中国版Wikiの百度百科では



水蓼(学名:Polygonum hydropiper L.)是蓼科,蓼属一年生草本植物,高可达70厘米。茎直立,多分枝,叶片披针形或椭圆状披针形,两面无毛,被褐色小点,具辛辣味,叶腋具闭花受精花;托叶鞘筒状,膜质,褐色,总状花序呈穗状,顶生或腋生,花稀疏,苞片漏斗状,绿色,边缘膜质,每苞内具5花;花梗比苞片长;花被绿色,花被片椭圆形,柱头头状。瘦果卵形,5-9月开花,6-10月结果。


と紹介されているので、これは<蓼食う虫>のヤナギタデ(柳蓼、学名: Persicaria hydropiper)だ。つまりは本草綱目には<蓼食う虫>の<タデ>が由緒ある漢方薬の水蓼として紹介されてる、ということになる。これで面目一新だ。ところでこの本草綱目だが、読みやすい白話(口語)版で読んでみるとなかなか面白い。漢方薬としての解説の前にたいてい草木の名前の由来が書いてあるのだ。私がよく見る中薬(漢方薬)図鑑は名前の由来はほとんど書いてない。

日本語版Wikiの<ツルソバ>ぼ解説は


ツルソバ(蔓蕎麦、学名:Persicaria chinensis (L.) H.Gross[1])は、タデ科イヌタデ属分類されるつる性[3]多年草の1[5]。種小名(chinensis)は、中国を意味する[3]。(中略) 和名のソバは、果実がソバと同じように黒色の3稜形であることに由来する[6]。  



<ソバ>もタデ科だ。 


sptt