Sunday, December 22, 2019

ツタ


<ツタ>は総称で<ツタ>という種はないようだが話は少しややこしい。

まずは、秋の紅葉を歌った童謡に


秋の夕日に照る山もみじ
濃いも薄いも数ある中に
松をいろどる楓(かえで)や蔦(つた)は
山のふもとの裾模樣(すそもよう)



というのがある。題名は<紅葉(もみじ)>というようだ。日本人にとっては蔦(つた)は紅葉するのだ。しかし、Wikiの<ツタ>の解説では


ツタ(蔦、学名:Parthenocissus tricuspidata)は、ブドウ科ツタ属つる性の落葉性木本。別名、アマヅラ、ナツヅタ、モミジヅタ。
ツタという言葉は、ツタ属(Parthenocissus)の植物を総じて称することもある。英語でのアイヴィー(Ivy)との呼び方は、ウコギ科キヅタ属の植物を指すことが多い。

(中略)

ツタ属植物は、アジアから北アメリカに15種が自生し、日本にはツタ P. tricuspidata のみが本州から九州に自生する。「つた」の名称は他の植物や岩に「つたって」伸びる性質から名づけられた。


という解説がある。<ツタ>は発音しずらいがParthenocissus tricuspidata という種に相当する。これは日本に自生するのはこの種だけなので日本でこういっても問題はない。一方この種以外の<ツタ属>、<ツタ>の類(るい)の総称でもあり、実際にはこのように使っているだろう。 <つた>の英語は?という問いに対して9割以上は<Ivy>と答えるだろうが、詮索はせず何となく<Ivy>は<ツタ類の総称>という理解だろう。詮索すると<つた>は、<英語でのアイヴィー(Ivy)との呼び方は、ウコギ科キヅタ属の植物を指すことが多い>ことから、正確には<Ivy>ではないのだ。 

詮索すると Parthenocissus tricuspidata tricuspidata は<tri(3)+cuspidata(pointed)>で葉が<三裂し先がとがっている>ということだ。だが詮索はせずに、葉が<三裂で先がとがっていて>塀(へい)や壁を<つたって>いるのを<つた>といっているようだ。

ウコギ科の Ivy は<ウコギ>のポストで名前だけ出てきた。

Wikiの<ウコギ科(Araliaceae)>解説



<ウコギ科>の馴染みのある草木では
があるが、一見同じ<科(Family)>とは思えない。



のキヅタ属 (Hedera) のキヅタというのがある。またセイヨウキヅタというのもある。これが<正式な>Ivy なのだ。覚えておく必要はないがキヅタ、セイヨウキヅタが Ivy ということになるようだ。
 
キヅタ 学名: Hedera rhombea
セイヨウキヅタ 学名:Hedera helix

ところでこのセイヨウキヅタHedera helix)は、中国名では<常春藤>で常緑なのだ。日本では園芸用か?


<ツタ>は純やまとことばで動詞<つたう>由来だ。<つて>という名詞のやまとことばもある。<つてをつたって>とう言い方もある。おそらくもとの<つたう>が<つた(伝)える>、<つた(伝)わる>に変化したのだろう。<ツタのからまるチャペルで . . . . . >という歌がむかしはやったことがあるが、これは正確には<ツタのつたう(壁の)チャペルで>が正しい。<ツタ>はあるものにからみつくのではなく吸盤(きゅうばん)みたいなもので、イモリ、ヤモリ、スパイダーマンのように壁を這(は)って伸びていく。これは現物を見ればすぐわかる。

初めに述べた<ややこしい話>といのは

繰り返しになるが、まず上のWikiの解説からすると

ツタ(蔦、学名:Parthenocissus tricuspidata)>は種で、<日本にはツタ P. tricuspidata のみが本州から九州に自生する>のでこれは日本では種でもいいだろう。

ところが英語版は


Parthenocissus tricuspidata is a flowering plant in the grape family (Vitaceae) native to eastern Asia in Korea, Japan, and northern and eastern China. Although unrelated to true ivy, it is commonly known as Boston ivy, grape ivy, and Japanese ivy, and also as Japanese creeper,(後略)



となっている。別名は<アマヅラ、ナツヅタ、モミジヅタ>ではなく<ボストンヅタ、ブドウヅタ、二ホンヅタ、さらには二ホンcreeper>だ。香港でこれに似たのを野生に近いのをふくめてよく見る。


ネットで香港の資料(https://www.herbarium.gov.hk/)を見ると Vitaceae で名前に<Parthenocissus>がつくのは

Latin:Parthenocissus dalzielii Gagnep. 中国名:爬牆虎, 異葉爬山虎, English :Diverse-leaved Creeper

しかのっていない。さらに少し調べてみると現在香港にはこの種だけのようだ。Wikiにあったてみると

Wiki


Parthenocissus dalzielii (Gagnepain 1911) is a creeper related to the grapevine family. It is a native plant of East and South-east Asia.
In China it is found in Anhui, Fujian, Guangdon, Guangxi, Henan, Hubei, Hunan, Jiangsu, Jiangxi, Sichuan and Zhejiang.[1] It is commonly used in Hong Kong by the government as part of slope stabilization. Its Chinese name is 爬山虎.

(中略) 

Characteristics
Parthenocissus dalzielii is a deciduous vine with broad, trifoliate leaves. It sticks well to walls and sloping surfaces, even painted concrete using suction cups which excrete calcium carbonate. It has small fruit which look like grapes and are dark blue almost black when ripe.


これがどうも本命のようだ。日本の<ツタ(Parthenocissus tricuspidata)>が香港にあるとは思えない。

 Wikiの解説にはないが、Parthenocissus dalzielii は同じ株に2種の葉がある。一つは解説にある <broad, trifoliate leaves>。もう一つは小さく、丸形でtrifoliate(三裂葉)でない。こちらの方は枝が長く、節から葉と根(つるか)と吸盤が出てくる。壁や岩には吸盤がいいが、平板でないものには<つるや根のようなもので絡(から)みつくようだ。下の写真とスケッチ参照































参照: Flora of China 12: 175, 2007 (retrieved on 20-9-2010) に詳しい解説がある。

ところが手元にある Hong Kong Climbing Plants (今ではかなり古く返還(1995年)前に買った)という小冊子ではParthenocissus himalayana (Boston Ivy) というのが紹介されている。下のスケッチの文字分参照 (手書きでコピーした)。








































WikiではこのParthenocissus himalayana Parthenocissus semicordata の別名(Synonm)となっている。

Wiki

Parthenocissus semicordata (Wall) Planch. 1811 (synonym: P. himalayana) is a creeper related to the grapevine family. It is a native plant of the Himalaya.[1] Its name is derived from Latin 'corda' meaning heart.

(中略)

Characteristics
Parthenocissus semicordata is a vigorous climber. It has trifoliate leaves. Like most of the species of Parthenocissus it uses suction cups to hold itself to walls or trees. It has small fruit which look like grapes and are dark blue, almost black when ripe.


特徴はこのようだ。この中国語版は三葉地錦


三葉地錦學名Parthenocissus semicordata)是葡萄科地錦屬的植物。分布於印度緬甸泰國中國大陸西藏雲南貴州四川甘肅陝西湖北等地,生長於海拔500米至3,800米的地區,一般生長在灌叢和山坡林裡。



でこれは別物だ。地錦という名前からすると<地を錦(にしき)>のようにするので紅葉するのだろう。

したがって Hong Kong Climbing PlantsParthenocissus himalayana (=Boston Ivy) は間違というか混乱だろう。もっとも Flora Hong Kong のParthenocissus の箇所の解説では<Parthenocissus himalayanasemicordata) はかつては香港で栽培されていた>という記載がある。だが Boston Ivy は日本の<ツタ>のところででてきた。日本自生の<ツタ(Parthenocissus tricuspidata)>がなぜアメリカで Boston ivy なのか。Ivy League というのがあるが、これも関連ありそう。

GARDENISTA のサイトに

https://www.gardenista.com/posts/gardening-101-boston-ivy-vines-climbers-plant-care-guide/


Boston ivy is native to Japan, not New England. Coincidentally, one of its more sought-after cultivars was first discovered growing near the home of the Boston Red Sox; P. tricuspidata ‘Fenway Park’ is distinguished by lime green leaves in summer that turn yellow, orange, and red in fall. P. tricuspidata ‘Veitchii’ carries an Royal Horticultural Society award of garden merit.


という記載がある。

姿は似ているがウコギ科の常緑の類(数種)が Ivy (総称)で秋に葉が色づき、落葉する類(数種)が Boston Ivy (これまた総称)ということで<ややこしさ>は収拾がつく。



追加

初めに引用した歌は<紅葉(もみじ)という唱歌の1番。2番は

 "
渓(たに)の流(ながれ)に 散り浮く紅葉(もみじ)
   波にゆられて 離れて寄って
赤や黄色の 色さまざまに
   水の上にも 織る錦(にしき)

"

3番がなさそうなで作ってみた。


風にゆられて 舞い散るモミジ
木木(きぎ)の間(あいだ)に 色敷き詰める
道の上にも 重なり積もり
歩きしめれば 音がする。



sptt



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