無患子(学名:Sapindus saponaria)はムクロジとよむ。ムクロジ科を代表する。覚えてしまえばどうということはないが、なぜ<ムクロジ>なのか。無患は<患(わずら)い無し>。似たようなのに<恙(つつが)なし(い)>と言うのがある。<患(わずら)い無し>とムクロジは意味上つながりがないようだ。連想は働かない。無患子=ムクロジと丸暗記するのだ。ムクロジを見たことがなくてもどうと言うことはないが、おもしろい名前なので実際知っていた方がいい。香港のビクトリア公園にこのムクロジの木があるが(多分一本だけ)、名札は
無患子Sapindus saponaria
(Soap Berry)
無患子科(Sapindacea)
で当然ながら日本人向けの<ムクロジ>はない。
」
無患子(学名:Sapindus saponaria)
ビクトリア公園のムクロジはほとんど記憶になかったが、最近(2021年2月)旧正月休みに他の木を見に ビクトリア公園に行ってみると、ムクロジの木と名札を確認しているとき実らしきものが地面にいくつか落ちているのに気がついた。ムクロジは昔は石鹸(せっけん)の代用品だったというのと、ラテン語学名に見え隠れする<サポニン>という化学用語が頭にうかんだ。実際に実を見るのは初めてだった。これは相当ラッキーでないとお目にかかれないだろう。実がなり、地面に落ちる時期は相当かぎられている。さらにそのような時期でも、最近は地面を頻繁に掃き掃除するので時間も相当かぎられる。今回は朝早く行ったが掃除要員が掃除をし始めているところだった。2-3分遅かったら見られなかったかもしれない。
無患子の地面に落ちた実を拾い集めた。
集めて石鹸(せっけん)の代用を試してみた。くだいて水を足して相当はげしく手で揉み続けると蝋(ろう)みたいなものが溶けて泡の出ない石鹸のようにはなった。当然始めての経験だ。無患子=ムクロジと丸暗記の強化に役立つ。
ムクロジは漢字で書くと<無患子>のようだが、やまとことばに聞こえる。だがロジは路地というよりはなぜかロジックを連想する。<無患子>は音読みにすると<ムカンシ>となるはずだが、なぜか<ムクロジ>だ。どうして<ムクロジ>となったのかをネットで調べたら http://www.jugemusha.com/ のサイトに
”本来、漢名の音読みだが、同科のモクゲンジの漢名「木欒子」と、本種の漢名「木患子」を取り違えた結果の和名。
”
という解説があった。「木欒子」は音読みすれば<モクロクシ>、<モクラクシ>で<ムクロジ> に近い。もう少し調べてみる。
この解説で<同科のモクゲンジの漢名「木欒子」>と無患子ではなく「木患子」>とあるがこれまたよくわからないので、これまたネットで調べてみると https://matsue-hana.com/hana/mokugenji.html に
”
モクゲンジ(木患子)本州(日本海側、宮城県、長野県)の日当りのよいところに生える。高さは10mほどになる。樹皮は灰褐色。葉は互生。長さ25〜35cmの奇数羽状複葉。小葉は3〜7対、卵形でふちには不ぞろいの粗い鋸歯がある。小葉がさらに全裂するものもある。裏面の脈上には軟毛が生える。枝先に長さ15〜40cmの大形の円錐花序を直立し、黄金色の小さな花を多数つける。花は直径1cmほど。花弁の基部には赤いハート形の付属体がある。果実はさく果。長さ4〜5cmの三角状卵形で、先端はとがる。果皮は洋紙質で風船のようにふくれ、10月頃に熟すと褐色になる。3裂する。種子は直径約7mm、黒色でかたい。1室に直径7mmほどの種子が2個つく。花期は7〜8月。
冬芽は円錐形。芽鱗の縁には毛がある。葉痕はハート形。(樹に咲く花)
「一回、不完全二回或偶有为二回羽状复叶」(中国植物志)
学名は、Koelreuteria paniculata
ムクロジ科モクゲンジ属
”
と言う解説があるが、実際に見たことがあるか写真がないと想像しにくい。
<果皮は洋紙質で風船のようにふくれ、10月頃に熟すと褐色になる。>の箇所に注目。
最後になぜか<「一回、不完全二回或偶有为二回羽状复叶」(中国植物志)>というのが付け足されている。
古いスケッチがある(2009)
Koelreuteria paniculata ではなく Koelreuteria bipinnata (複羽葉欒樹)
Koelreuteria bipinnata (複羽葉欒樹)は黄色い花に加えて、このスケッチではないが果実(タネ)は小さいが濃いピンクの大きな花びらのようなもの(inflated papery capsule)に包まれたており美しい(*)。昔<一粒で二度おいしい>というアーモンドキャラメルの宣伝文句があったが、これに似ている。
(*)Wiki
Koelreuteria bipinnata
the flowers are small and yellow with a touch of red at the base, with four petals, produced in large branched panicles that are 20–50 cm long. They are showy and have a pleasant fragrance. They flower in the summer from July to August, more northerly, in middle Europe, in September. Flowers are hermaphroditic, having both male and female organs.
The fruit is a three-lobed inflated papery capsule that is 3–6 cm long, of a faint reddish colour, showy, containing several hard, nut-like seeds which are 5–10 mm in diameter with a pink color.
さてムクロジの名前についてはかなり込み入っているので整理してみる。
<木患子>はムクロジ科ムクロジ属のムクロジのこと。<木患子>も音読みでは<モクカンシ>でモクゲンジではない。 <患>の現代中国語は発音は<huàn>で<カン>ではないが<kuàn>に近い発音をする人が今でもいる。木患子あるいは無患子という言葉が日本に輸入されたときはかなり高い確実で<mu-kuan-zi>に近い発音だっただろう。もっとも文字として輸入された可能性も高い。
学名、Koelreuteria paniculata の現代の中国名は<欒樹>だ。つまり
モクゲンジ(木患子)= 欒樹
欒樹の現代中国語の発音は luán shù。「木欒子」は<mu-luan-zi>となる。
つまりは<モクゲンジ>は「木欒子」のことなのだが、これは音読みにすると<モクロクシ>あるいは<モクラクシ>のようになるだろう。だが中国語「木欒子」の発音 は上のように<mu-luan-zi>だ。これを加味すると、<mu-kuan(-zi) + (mu-)luan(-zi)>で<mu-kuan-luan>で<ムクロ>に近くなる。
あるいはこの語の輸入時は<木>の発音は現代中国語(北京語)の<mu> ではなく<muk>で「木欒子」の発音 は<mu-luan-zi>ではなく<muk-luan-zi>であった。これはこじつけではなく、現代広東語(古い中国語の発音を残すといわれている)はでは<木>は<mok>と発音する。日本語でも音読みは<モク>だ。<muk-luan-zi>はかなりムクロジに近い。
一方<本種の漢名「木患子」>とあるが、少なくとも現代では本種の漢名は<無患子>で「木患子」ではない。無は現代中国語では wu と発音するが日本語の音読みは<ム(mu)>だ。<無患>で<患(わずらい)が無い>になる。これは縁起をかついだ名づけだろう。下記の中国版Wiki の解説では
本草綱目稱为木患子
とある。
中国版Wiki の解説
”
無患子(学名:Sapindus saponaria)属于无患子科无患子属,古時又稱「桓」,又有噤婁、肥珠子、油珠子、鬼見愁等別稱,本草綱目稱为木患子,香港的舊式藥材舖習慣稱為木眼仔,四川稱油患子,海南島稱苦患樹,台灣又名黃目子(n̂g-ba̍k-tsí),亦被稱為油羅樹、洗手果、肥皂果樹。
無患子與荔枝跟龍眼同屬無患子科。相傳以無患樹的木材製成的木棒可以驅魔殺鬼,因此名為無患;學名Sapindus是saponis indicus的縮寫,意思是「印度的肥皂」,因為它那厚肉質狀的果皮含有皂素,只要用水搓揉便會產生泡沫,可用於清洗,是古代的主要清潔劑之一,一直在亞洲各地區用到20世紀初,但工廠清潔劑誕生後,卻因為價格和生產問題乏人問津,加上無患子不是很適合公園植栽的樹種,因口感比不上龍眼(較酸),可耕地上個體幾乎被砍伐殆盡,現代年輕人已經幾乎完全不知道其除污功能。
”
相傳以無患樹的木材製成的木棒可以驅魔殺鬼,因此名為無患
と名前の由来がある。 上で書いた<患(わずらい)が無い>とはズレがある。
石鹸(せっけん)になるムクロジに加えてムクロジ科には果物の木のライチ(荔枝)、ロンガン(龍眼)がある。果実は似ているが見ただけで区別がつく。
ロンガン(龍眼)
sptt



No comments:
Post a Comment