ヤブコウジもヤブコウジ科もややこしい。以前に簡単に調べた記憶ではヤブコウジは<やぶ(藪)にあり、常緑で、葉っぱが厚く、赤い実がなる>程度だ。これは植物に興味も持つようになってからなのでそれほど古くはない。だがその前に子供の頃だと思うが<あぶらこうじ、やぶこうじ>というのを聞いたことがあり、なぜか覚えているが、なんだかわからないが植物でないヤブコウジが脳裏にあった。また武者小路実篤という作家がいたが<小路>は<コウジ>と発音するので、ヤブコウジは何となく<藪(やぶ)+路地(ろじ)>ではないかと思っていた。さらに日本酒を作る麹(こうじ)も連想の一部になっていたようだ。今回調べて見ると、<あぶらこうじ、やぶこうじ>はまちがい。これは落語の<寿限無寿限無(じゅげむ、じゅげむ)>という話の中にでてくるのだ。子供の頃落語で聞いて、口調がいいので覚えたのだろう。Wikiの<寿限無寿限無>の解説の一部を引用する。
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- 藪ら柑子の藪柑子
- やぶらこうじのぶらこうじ、とも。「やぶらこうじ」とは藪柑子(やぶこうじ)で生命力豊かな縁起物の木の名称。「ぶらこうじ」はやぶこうじがぶらぶらなり下がる様か(?)単に語呂の関係でつけられたようにも思える。
この落語の<藪ら柑子の藪柑子>を含め長い呪文みたいな部分はなんだかよくわからない。よくわからないところが、この落語の身上(しんじょう)ともいえる。わかってしまってはおもしろくないのだ。この解説からするとヤブコウジは<生命力の豊かさ>象徴なのだ。
藪(ヤブ)はいいとして柑子(コウジ)が問題だ。柑または柑子(コウジ)は中国語ではミカンのことだ。ミカンもいろいろあるので<ミカン類の総称>としておく。手もとの三省堂辞典では<昔の小型のミカン>という説明がある。ネット上のいくつかの解説では簡単に<やぶ(藪)にあり、ミカンに似ている(ので、から)>といった解説があるが、ヤブコウジの実は小さく、しかも赤く、ミカンのような皮もないのでミカンの実にはまったく似ていない。<やぶ(藪)にあり、葉や枝ぶりがミカンに似ている>ならまだいい。<やぶ>はやまとことばだが<こうじ(柑子)>は日本語発音になっているが漢語だ。
さて植物のヤブコウジのWikiの解説をみると、冒頭は
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ヤブコウジ(藪柑子、学名: Ardisia japonica)は、サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木。林内に生育し、冬に赤い果実をつけ美しいので、栽培もされる。別名、十両(ジュウリョウ)。
従来の新エングラー体系、クロンキスト体系では、ヤブコウジ科の種としていた。
特徴
常緑の草状の小低木。細くて長い匍匐茎があり、斜上する茎は円柱形で、高さは10-30cmになる。
(後略)
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1.漢字名: 藪柑子
2.学名: Ardisia japonica
3.科-属-種: サクラソウ科-ヤブコウジ属-ヤブコウジ
説明からするとヤブコウジ科というのがある、またはあった。
4. 高さは10-30cm。
背は低いのだ。これだと少し深い藪の中では赤い実は数が少ないとあまり目につかないだろう。
私はヤブコウジにはなじみ(馴染み)がなかったので、これを機に調べてみた。(まったく違うが、ヤブカラシは前に調べた。)実は最近山歩きをして<秋の実>を写生をしたあとで調べてみたら続けてヤブコウジ科らしき灌木がでてきたのだ。一つは丸い赤い実がついていた(いる)。もう一つ実がたくさんなっていたが<うす茶色>。両方とも緑の葉をつけたまま実をつけていた。
これはさらに調べてみると、どうも Ardisia ではないようで、スケッチ上の説明書きを訂正しないといけないかもしれない。赤い実の数や位置からすととどうも
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センリョウ(仙蓼 / 千両、Sarcandra glabra(Thunb.) Nakai)はセンリョウ科の常緑小低木。別名クササンゴ(草珊瑚)。冬に赤い果実をつけ美しいので栽培され、特に名前がめでたいのでマンリョウ(万両)などとともに正月の縁起物とされる
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(Wikiのコピー)
かもしれない。これはおそらくセンリョウ科のセンリョウ属のセンリョウだろう。きわめて一人前だ。
一方 Ardisia はいろいろな種(しゅ)があり、 学名は Ardisia xxxx となる。 Wikiの解説でArdisia japonica =ヤブコウジなのだ。またヤブコウジは別名、十両(ジュウリョウ)。
Ardisia japonica - ヤブコウジ - 別名:十両(ジュウリョウ)
Sarcandra glabra - センリョウ (センリョウ)、センリョウ科(ヤブコウジ科ではない)
Ardisia crenata - マンリョウ(万両)、別名:ヤブタチバナ
とややこしい。ついでに
Ardisia crispa - カラタチバナ(唐橘)別名:百両 (ヒャクリョウ)。Ardisia でヤブコウジ属。
<カラタチバナ>は純やまとことばだだが<唐(から)>があるので中国からはいってきたようだ。
<タチバナ(橘、学名:Citrus tachibana)は、ミカン科ミカン属の常緑小高木で柑橘類>(Wiki)なので、カラタチバナは赤い実を除いて葉や枝ぶりがタチバナ(ミカン)に似ているのだろう。またマンリョウの別名に<ヤブタチバナ>というのがある。さらにはイチリョウ(一両)というのもあるが、下記のサイト参照。
http://www.azami.sakura.ne.jp/hana/zoku/manryo.htm
話がそれてしまったが、もう一つの写生は常緑で実がたくさんなっていたが<うす茶色>なのだ。
Maesa perlarius
Maesa japonica というのも香港にある。
最近さらに舗装されている山道(the Peak、山頂、太平山)を歩いてスケッチしたが、12月で花が少なく赤い実の灌木をスケッチした。あとで調べたが、それぞれ違いはあるが、調べきれなかった。
Ever Green Leaves - Red Fruits - Shrubs - 1, -2, -3
Ever Green Leaves - Red Fruits - Shrubs - 1
Ever Green Leaves - Red Fruits - Shrubs -2
![]() | ||||||||
Ever Green Leaves - Red Fruits - Shrubs -3
以上<Ever Green Leaves - Red Fruits - Shrubs>からするとヤブコウジの類なのだ。(この判断はまちがい。<Ever Green Leaves - Red Fruits - Shrubs>は他の科にもいろいろある。また赤い実でない Aridisia xxxx もある。)
ヤブコウジは学名に<japonica>がついているが、Wikiの解説では
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分布と生育環境
北海道(奥尻島)、本州、四国、九州に分布し、丘陵地林内の木陰にふつうに生育する。国外では朝鮮半島、中国大陸、台湾に分布する[3][4]。
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で日本だけにあるわけではない。ところがこの種(しゅ)のヤブコウジ(Ardisia japonica)の中国名は
紫金牛という。Wikiの中国版の解説はごく簡単でたった一行ですませている。
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紫金牛(学名:Ardisia japonica),为报春花科紫金牛属下的一个植物种。
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紫金牛属の紫金牛だ。これは見方によっては紫金牛科の紫金牛属(Ardisia)の紫金牛といえ、統一がとれている。紫金牛科(ヤブコウジ科)のラテン語名は Myrsinaceaeで、Ardisia が出てこない。英語は一貫していない。
さて、やまとことばから離れてしまうが、中国の草(特に雑草)の名には<牛>のつくものが少なくない。<牛xx>は牛のある部分に似ている名前、<xx牛>は多分もともと<牛が食べる草>、雑草の意ではないか。香港では街中(まちなか)でよく見られる雑草の代表にキク科の<夜香牛>といのがある。これはいい香りがする。ところで<紫金牛>はどういう意味だろう。
紫:高貴な色
金: カネ、Money のこと。だが<紫>と重なって金色を連想させる。
紫金=富貴だが色をつかった間接的な表現だ。牛を雑草とすると<富貴な雑草>ということになり、日本のジュゲムジュゲムの<生命力の豊かさ>とはちがって、中国では紫金牛(ヤブコウジ)は富貴の象徴だろう。これが万両、百両、十両に関連しているのかもしれない。
さてタチバナ(橘)はWikiからまたまた引用すると
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タチバナ(橘、学名:Citrus tachibana)は、ミカン科ミカン属の常緑小高木で柑橘類の一種である。別名はヤマトタチバナ、ニッポンタチバナ。
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ミカン科ミカン属のタチバナ。
ラテン語学名だとRutaceae(科)の Citrus (属)の Citrus tachibana
とややこしい。
一方中国語では
橘柑又名立花橘(学名:Citrus tachibana)为芸香科柑橘屬下的一个种。
芸香科の柑橘属の橘柑(柑橘ではない)
とこれまたややこしい。柑橘は<かんきつ>と読み<柑橘類(かんきつるい)>というのはよく使う。だが順序を入れ替えた橘柑(きつかん)は多分日本語にないだろう。日本語はやまとことばの<たちばな>があるのだ。橘柑(きつかん)はラテン語名のCitrus tachibana のかなり強引な訳かもしれない。 tachibana は橘に相当するが柑橘が Citrus に相当するので柑橘<橘> あるいは順序を入れ替えて<橘>柑橘とななってしまい具合がわるい。別名の<立花橘>は日本人にとってはさらに具合がわるい。
ところで中国語辞典(中中辞典)を調べたところ、なんと<柑は橘の略字>となっている。柑橘=橘橘なのだ。発音はすこし違うが似ている。もっとも発音が似ていないと<略字>の資格がない。これで<ヤブコウジ、ヤブコウジ科>の名前のややこしさがいくらか説明できる。江戸時代は国学が生まれ発達したように意識的に<やまとことばもどり>がある。しかし中国文化も根強くのこっている。
繰り返しになるが
Ardisia crenata - マンリョウ(万両)、別名:ヤブタチバナ
で、<やぶ>自体あまりいい意味はないが(藪医者)、上等のマンリョウ(万両)がすべてやまとことばの<ヤブタチバナ>、百両のカラタチバナもすべてやまとことば。一方<並(なみ)>ともいえる十両が<ヤブコウジ(柑子)>と<やまとことば+漢語>の混成になっている。
ところで香港では旧正月にマンリョウ(万両)、センリョウ(千両)、ヤブコウジ(十両)はほとんど見ないが、家や会社に小型だが柑橘類のやや厚い緑の葉に小さく黄色の実たくさんついた<柑>という小低木の鉢植えを置く。実はかなりすっぱい。これは<大吉、小吉>の<吉>と発音が同じ、またはよく似ているからだ。香港では<大利大吉(大吉大利か)>という成語は正月にみかけるが<中吉、小吉>というの見たことがない。
マンリョウ(万両)とおぼしきものが台湾銀行の香港支店の入り口に置かれているのを見つけた。赤い実の数が違い見栄えがする。
sptt






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